井上亜星といいます。添付PDFの間違い等あればTwitterで連絡してください、といままで書いていたんだけど、Twitterに常駐してないからメールのほうがいいかも。メールは48aです。Twitterは@seasawher。 (追記:PDFに自分の名前くらい書いておかないと本人が書いたものだと思われる恐れがあると指摘を受けました。すみません…そのうち直します)
数学科では、有名な本は過去に何百という人によって読まれているはずなのに、何故行間で詰まったときに一人で悩まなくてはならないのか。何故、先人の知恵を活用することができないのか。それは、記録が公開されていないからだ。先人のノートが公開されていれば、集合知によって楽に読めるようになるはずだ…という考えに基づき、ノートとLaTeXソースを公開しています。書き足してアップグレードしてくださると泣いて喜びます。書き足したり再公開したり書き直したりするのに僕の許可は要りません。
LaTeXの設定が違っていて出来ないとか、不具合がある場合、ノートをスキャンして送ってくれたらこちらでTeX打ちします。(余裕があれば…)
見出しについてるローマ数字はだいたいの読む順番を表しているつもり。予備知識がたくさん要るものほどローマ数字が大きくなるようになっているはず。具体的には、ローマ数字nの本は1~n-1までの本を全部読んでいることがなんとかその本を読むことができるための十分条件になっている、はず。(必要条件とは言ってない)アルファベットは、予備知識の量がだいたい同じ異なる分野を区別するためにつけた。見出しに名前が挙がっているものは僕が多少とも読んだり参照したりしたもの。(通読したとは言ってない)他は、先生や直接の知り合いに良いという評判を聞いたもの。ただしまた聞きを含む。
高木貞治「解析概論」にいきなり挑戦して玉砕した人は多いのではないか。名著ということと、初学者向きということは全く別のことである。これはわかりやすくておもしろいので挫折しにくい。ただ重積分の変数変換公式を厳密に証明していないし、ベクトル解析の説明が雑すぎるのであくまで初学者向け。
行間もなく具体的に書いてある良い本。こういう1回生の最初に読む本は、とにかく挫折しにくいことが大事だと思う。
文庫サイズなので読みにくい。群や環が出てくるが、説明が雑なので初学者向きでない。 でもこの本を読んでいたことがのちにFulton Harrisを読むときに役に立った。外積代数などの説明がある本を読んでおくのはよいこと。
内田と、松坂和夫「集合・位相入門」が二大入門書。新しいのでは斎藤毅「集合と位相」が良書と聞く。松坂のほうは集合論の記述が充実していて、斎藤のほうは圏論的に書かれているということである。
丁寧に書かれた良い本。位相空間は幾何・解析・代数のどの分野でも頻繁に登場するため、位相の勉強は早めにしたほうがよい。
内田より詳しい。はじめは内田で十分過ぎるほどなので読まなくて良いが、あとで必要になる。
群論の定番教科書。初学者でも挫折しにくい。この本に限らず雪江先生の本は行間がないという特徴があり、読むと幸せになれる。well-definedの説明がしっかりしてあるのは素晴らしい。唯一、冒頭に「自然な対象とは関手を使って定義される対象である」とよくわからないことが書いてあるのには文句を言いたい。圏論を知らない人が誤解するかもしれないし、一応注意しておく。正誤表が著者のホームページにある。雪江先生の本で何かわからないところがあったら、直接メールで訊けば親切に教えてもらえる。
初学者向きではないが、面白いことがいっぱい書いてあり、よく参照する。演義必携書のひとつ。
野口潤次朗「複素解析概論」はアールフォルスの下位互換という印象。笠原乾吉「複素解析」(ちくま学芸文庫)が良いという話を聞いた。あと読んでいる人が多いのはエリアス・スタイン&ラミ・シャカルチ「複素解析」。
初学者向けの本。話題を絞って丁寧に解説している。比較的すぐ読み通せて、複素解析の概要をつかむことができる。初めにこれを読み、そのあとより詳しい本を読むと挫折しにくい。
分厚くてさぞ内容が多そうな見た目だが、実は位相の説明に序盤のかなりの紙数を割いているため実質的な内容はそう多くない。説明が丁寧とは言えないが、本質を突いたことが 簡潔に書かれている。解析接続のところでなにやら難しいことが書かれていて面食らったが、普通は一致の定理が理解できていれば十分であると聞いて安心した記憶がある。
下の2冊以外には中岡宏行「圏論の技法」とかスティーブ・アウディ「圏論」の名前をよく聞く。「圏論の技法」を圏論を勉強する1冊目にはしない方がいい。 位相空間論と同じく、圏論もあらゆる分野で基礎となる重要な理論であり、なるべくはやく学んでおいた方がいい……と思ったのでローマ数字はかなり小さめにした。
Tom Leinster「Basic Category Theory」の日本語訳。略してべしけん。訳者が演習問題に解答をつけてくださっているので、この本は原書より日本語訳がオススメ。現在、圏論の入門書の決定版だとおもう。どうでもいいことだが、実は98ページに望月先生の宇宙際タイヒミュラー理論について言及がある。
この分野の古典。べしけんには無い、エンドやKan拡張の話がある。
1回生のときセミナーで使用した本。ネットにただで落ちている。
初等環論というのは可換環論と区別するために引っ張り出してきた分野名。UFDとかPIDとか整域がどうとかいう話のこと。
Galois理論の定番教科書。初学者の最初の一冊として良い。多項式のガロア群の決定が載っている。具体的な計算を目標にすることが多いのも雪江先生の本の特徴である。
測度論を勉強するには定番の本であり、実際良い本だと思う。解析学Iの授業ではDynkin族定理という定理を使っていて大変わかりやすかったが、この本にはDynkin族定理は載っていない。そこは残念だが、僕はそれが載っている本を知らない。確率論系の本に載っているらしい。Lebesgue積分が存在することを最初に示しているが、退屈なら飛ばしても問題はない。後半の関数解析の話は黒田関数解析で読んだ方がいい。
位相空間論は空気のように使う。実解析もよく引用される。
Riemann面ならOtto Forster「Lectures on Riemann Surfaces」がとてもわかりやすくて良いらしい。
人呼んでライトノベル。説明は丁寧で行間もないのだが、内容が少ないので何か別の本の副読本向き。主の本を読んでいて困ったら参照するくらいに。
松本より叙述が簡潔で、おなじくらいの厚さなのに内容はずっと多い。松本の内容の他にLie群・Lie代数や商空間、DeRham理論など。実解析や位相空間論の予備知識を付録にまとめてくれているのが嬉しい。良書。
「圏の言葉で書かれないと判ったような気がしない」圏論依存症に陥ってしまった人向け。多様体論を層の言葉で展開している珍しい本。
田村一郎「トポロジー」を勧められることが多い。
浅岡正幸先生のおすすめと聞いた。すごく分厚い。絵や例がたくさん載っている。直感的な説明をし尽くしてから理論を語るという書き方で、くどいくらいたくさん説明してくれる。基本群を語る前に、まず投げ縄の話を…という調子。正誤表が著者のホームページで手に入る。本全体も同じ著者のページからダウンロードできる。演習問題がしこたま載っているが、答えやヒントは全くない。答えが欲しい人はこのページに誰かが作った答があるのでダウンロードしておこう。ただこの本、冗長なほどイメージを語るくせして証明が非常にザツ。もうどこもかしこも行間だらけ。おまけに用語の定義までフィーリングで書いてあるので、語によってはほかの文献ではどういう定義になっているか調べる必要がある。要はひどい本である。でも代数的トポロジーの本で例や直感的イメージの説明がこれほど多い本は稀なので、読む価値があると思う。 行間以外では、圏論的な解釈があまり書かれていないという不満がある。
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圏論の言葉で書いてあるので、圏論をある程度やっていないとかなりきついと思う。でも 圏論を知っていればむしろわかりやすいかも。
ミツヨシと読む。ジュッキチではない。加藤毅先生のおすすめだが、僕には難しすぎた。途中で挫折。この本で理解できる人は幾何学の素養が既にある人だと思う。僕は代数トポロジーの勉強を始めたばかりのころ、良い本を探して人におすすめの本を訊いてまわったり、図書館を物色したり、できる限りのことをしたが、結局直感的イメージの詳細な説明がある本はHatcherしか見つけられなかった。Hatcherの項でさんざん悪口をいいつつも「読む価値がある」とツンデレ気味なのはそういう事情による。
Hatcherを読んでいて、相互参照の必要が生じたときに見ていた本。通読するのはしんどいらしい。
平方剰余の相互法則とかp進体の話。第2巻に備えてGalois理論の説明がある。
渡部敬一&後藤四朗「可換環論」は二人の著者のチームワークがなってないという話を聞いた。
可換環論とホモロジー代数と表現論とそのほかいろいろの話。代数幾何や複素解析の例を引いた動機の説明が充実しているが、これも雪江先生の本の特(ry。ただ内容が足りないので、この本だけでなく松村英之「可換環論」や「Atiyah MacDonald可換代数入門 」(いわゆるアティマク) 等も読んだ方がいい。
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(おわび:バカでした。修正しました。指摘してくれた人、ありがとうございます。(2018/4/18))
初学者は避けた方がいいが、たまに参照するために引っ張り出す。
Fourier解析のところは複素解析の知識が必要なほか、Lebesgue積分を使わないと完備性が示せないので測度論は必須。偏微分方程式論などに応用がある。
説明が丁寧な上に広範な話題を解説してくれる良い本。上級者向けの本と紹介されることがあるが、行間はないので初学者でも読める。ただし超関数の一般論は扱っていないので、解析学の授業の副読本にするときは注意が必要。
ロシア語から英語への翻訳。言われて見ればなんとなくロシアっぽい。関数解析を圏論的に展開している本。Met圏では非可算集合で添え字づけられたproductは存在しないとか、fが像への同相写像であることとextreme mono射であることが同値だとか、そういう話が載っている。作用素の定義域という概念がこの本にはないことに注意。
なおこの著者、かなりの行間スキーで煽りスキーである。そこにも注意。
超関数について予習するために参照した本。
関数解析続論のノートを解読するために参照した本。
Dedekind環論、分岐・不分岐と円分体論。整数環の基底決定と類数計算をみっちりやっているのが特徴だと思う。テンソル積が八面六臂の大活躍を見せる。
雪江先生はHenri Cartan & Samuel Eilenberg「Homological Algebra」がオススメらしい。Joseph Rotman「An Introduction to Homological Algebra」が良いという話を最近聞いた。
非常に説明が丁寧で、行間が存在しない。立体的な図式が出てくるなど説明するのが面倒なところにさしかかっても今まで通りじっくり丁寧に説明してくれる姿はけだし数学書の鑑である。例が豊富とは言えないが、日本語のホモロジー代数の本はどれも行間がたくさんあるので、こういう本は貴重。
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リー群の表現論についてはAnthony W. Knapp「Lie Groups Beyond an Introduction」がとても判りやすくて良いという話を聞いた。あとBrian Hall「Lie Groups, Lie Algebras, and Representations」が雪江先生のおすすめ。
とても分厚い。表現としてisomorphicであることの定義がはっきり書かれていないことに注意。雪江明彦先生のおすすめ。
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とても良い本という評判なので読んでみたい。関数解析の知識を前提にしている。有限群の表現論は知らなくてもたぶん問題ない。
#ref(): File not found: "「リー群と表現論」のノート.pdf" at page "イノウエ"
Fulton Harrisと違ってとても薄い。G-linear mapにあたる用語が定義されていないのがまず問題。あと、妙に基底を取りたがるきらいがある。内容も薄めであり、ざっと概観する程度。
ζ関数の話など。リンデマンの定理の証明が載っている。
類体論はJ.P.Serre「Local Fields」か、Andre Weil「Basic Number Theory」のほぼ2択。Serge Lang「Algebraic Number Theory」は初学者向きでないという話を聞いた。足立恒雄&三宅 克哉「類体論講義」という選択肢もあるにはあるが、どうも食指が動かない。 整数論にはほかに楕円曲線論という分野もある。雪江先生にはJoseph H.Silverman「The Arithmetic of Elliptic Curves」を薦められた。いわゆるAECである。日本語の「楕円曲線論入門」は「Rational Points on Elliptic Curves」の翻訳であり、まったくの別物であることに注意。保型形式論という分野もあり、院生の人に訊くとFred Diamond&Jerry Shurman「A First Course in Modular Forms」を薦められた。p-進数については、雪江整数より詳しいものとしてFernando Quadros Gouvea「p-adic Numbers An Introduction」が良いという話を聞いた。
Weilの副読本のひとつ。Haar測度やmoduleについて相互参照するために読んでいる。とても丁寧に書いてあるが、著者が当たり前だと思っていることを知らないせいで僕はよく混乱する…。
#ref(): File not found: "「Fourier Analysis on Number Fields」のノート.pdf" at page "イノウエ"
数論セミナーで使用している本。行間はまあ良いとして、せめて命題の通し番号が狂っているのはなんとかしてほしい。
数論セミナーで使用していた本。マゾ向き。
当然の予備知識として圏論を使う本もあるので、圏論は必須。また高度な可換環論の知識が要求される。ホモロジーも要るようだ。
上野健爾「代数幾何」は証明が間違っている箇所があるらしい(未確認)。あと、Qing Liu「Algebraic Geometry and Arithmetic Curves」(数論幾何寄り)、David Mumford「The Red Book of Varieties and Schemes」が良いという話を聞いた。複素代数幾何ならPhillip Griffiths&Joseph Harris「Principles of Algebraic Geometry」が有名。グリハリと呼ばれている。 スキーム抜きの入門書としてWilliam Fulton「Algebraic Curves」を読んでいる人をよく見かける。
2010年出版の新しい本である。とても分厚い。行間と言うほどの行間もなく、付録に可換環論と圏論の予備知識が結果だけまとめられているなど丁寧に書かれている印象がある。わかりやすくて良い。スキームのコホモロジーは第2巻で扱うと予告されているが、第2巻はまだ出ていない。
#ref(): File not found: "Gortz Wedhorn「Algebraic Geometry」のノート.pdf" at page "イノウエ"
有名かつ定番の教科書。Görts Wedhornと相互参照しようと思っている。
論理学をつくることを介して論理学を学ぶ、というおもしろい趣向の本。「ならば」の真理値はなぜああなっているのか?とか、述語論理はなんのために考えられたか?といった素朴な疑問に丁寧に答えてくれる。数学の本とは思えないほど文体にユーモアがあって楽しい。「えばんげりおんのあやなみれいをちゅくってえ」には笑った。
確率論基礎の教科書だった。数学科の人間向けではないだろうが、名著という評判に違わずわかりやすく面白い本。随所にはさまれたギャグも楽しい。この本にある「無作為」という言葉の使い方への注意はあざやかで、一読の価値があるように思う。
TeXについての情報が大量に集積されている。TeXとはなんぞやという説明からインストールの仕方、エラーの意味まで、実に詳しく書かれている。
Texの例文集。たいへん便利。複雑な図式の書き方はこのサイトにはない。Xy-picを使うといい。他にもLaTeXコマンドシート一覧や物理のかぎしっぽなどがある。
LaTeXの実行に使えるテキストエディタのひとつ。僕ははじめTexworksを使っていたが、人がAtomを使っているのを見てうらやましくなって導入。Texworksと違ってTeX専用のエディタではなく、汎用的。プログラミング支援ソフトでもあるせいか、File名を半角英数字にした上で、texという拡張子をつけないとタイプセットできないことに注意。リアルタイムプレビューをはじめ、いろんなことができる。導入方法についてはこのページを参考にするといいと思う。
論文をLaTeXでうちこむときのしきたりが説明されているページ。
数学専門の知恵袋とでも言うべきサイト。洋書を読んでいて困ったときはまずここを覗いてみることを勧める。同じことで悩んでいる人が見つかればしめたもの。演義の問題をここにつっこんだらいいんじゃ…?というのは誰もが考えると思うが、さすがにそれは慎むべき。行間埋めから良い本探し、反例構成まで、なんにでも重宝する。
数学教室の事務で頼むと見せてもらえる。写真をとるのはダメだが書き写すのはよいという規則である。なんのためにある規則なのかわからないが、これはその規則に従って写したものに、ついでに解答例を付けたもの。
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(おわび)2017年の問1(1)の解答例が間違っていたので修正した。(2018/3/4)