kagakumaがこの場所を自由に使って「物理学を学ぶ上で重要になる『ベクトル解析』の解説をする」という勉強をします。
いわゆる「力学」の分野は、質点や剛体の運動について議論した。このときに出てくる「質量」とか「速度」とか「力」っていう物理量は、当然のことながら質点の性質であったり、質点に作用するものであった。もっというと、質点が存在しないところの「質量」であるとか「速度」とかいうものはナンセンスなものである。
ところが電磁気学などでは、議論している空間の各点が物理量を持っているという状況を主に扱う。空間の上にある質点や電荷は確かに重要だが、それらが空間そのものに及ぼす影響をメインに扱うのだ。例えば電磁気学であれば電場や電位など、流体力学であれば速度場や密度場などが挙げられる。これは質点系の物理学とは全く違う。具体的な粒子が存在するかどうか、あるいは観測機器があるかどうか(観測しているかどうか)にかかわらず、すべての点にそういう電場や電位などが存在すると考えるのだ。
分かりやすいように最初は水の入った水槽のようなものを考えよう。コップでもいいし、湯船でもいいし、太平洋でも構わない。この水が存在する空間の各点に対して、その点における水の密度であるとか、速度ベクトルを考えることが出来る。前者のように、各点に対して密度というスカラーが与えられている場をスカラー場、後者のように各点に対して速度というベクトルが与えられている場をベクトル場という。
数学を使って書くならば次のようになる。
Def.スカラー場fとは函数であって &mimetex(f:\mathbb{R}^3\supset{A\mapsto\mathbb{R}}); ( (x,y,z)→f(x,y,z) ) なるもの
Def.ベクトル場Fとは函数であって &mimetex(F:\mathbb{R}^3\supset{A\mapsto\mathbb{R}^3); ( (x,y,z)→F(x,y,z) ) なるもの